相場考察
今月の相場考察
日本市場
景気拡大は鈍化傾向?
今年5月の家計調査では、実質消費支出が前月比で-0.2%と4ヶ月連続で減少しました。消費支出は2018年に入り弱い状況が続いています。
さらに 6月の日銀短観では、製造業を中心に企業の業績回復が鈍化。国内の景気は足踏み状態と言わざる得ません。
J-REATへの資金流入が目立ちはじめる
J-REITは、これまでTOPIXと連動するように動いてきました。
ですがここ数日の相場は、"株式の見通し悪化" "世界経済に対する先行き不安" により、今後業績の拡大が期待できるREITへの資金流入が起きているようです。
そのため、TOPIXと逆の動きを見せているようです。
首都圏の不動産に妙味
国内の不動産(都内や主要都市)は、米国の不動産価格の上昇下落や、世界景気が変化しても、ビジネス地区のオフィス賃料の変化は遅行する傾向があります。
都心オフィス賃料の上昇や、インバウンドを含めた堅調なホテル稼働率等を見ても、J-REITは魅力が出てきました。
米国市場
貿易戦争の火蓋が切って落とされた
米国は、中国からの輸入品に高い制裁関税をかけることを決定。
中国はこれに対し、米国からの輸 入品に関税を掛けるという報復措置を公表しました。
関税の対象規模は、米中合わせて5,000億ドルになると予想されています。
米国の企業にとって、関税によって輸入価格が上昇するというデメリットが増え、貿易戦争は米国経済にプラスになるというわけでは無さそうです。
トランプ政権維持の戦略
トランプ大統領が中国との貿易戦争に拘るのは、支持者がいるからです。
現状 中国へ矛先が向いているのは、トランプ支持層からの支持を十分に得ているという確信があるためです。
それはつまり、支持が得られなくなれば 貿易戦争など二の次になり、あっさり終わらせてしまう可能性もあるということだと思います。
気分屋さんのイメージがさらに強くなりますね。
利上げは年内に2回
米中貿易戦争の結果、経済の雲行きが怪しくなっています。
これは、利上げによる景気後退の可能性が考えられます。そうなれば、2019年以降の利上げは難しくなるのではないでしょうか。
債券投資のチャンスか
金利上昇の上限が見えたタイミングというのは、債券購入の一つの目安になります。
なぜならこれ以上金利が上がらないだろうというタイミングが、利回りの良い債券を買うチャンスとなることがあるためです。
マーケットは2019年の利上げを懐疑的に見ています。その事から今後は債券への資金流入が想定されています。
失業率と不況の関係性
2018年6月の失業率は4.0%となり、前月比で +0.2% の上昇。
過去 2001年のITバブル崩壊の際や、2008年のサブプライムショックの際などを含め、失業率が上がり始めてから1年~1年半程度で不況に入りしています。失業率の上昇トレンドへの反転は気になるところですね。
しかし、これはあくまでの過去のデータ。
どう動くかはわかりません。
欧州市場
金融緩和終了のお知らせ
6月14日に開催されたECB理事会で、金融緩和を年内で終了することが決定しました。
利上げは2019年夏以降に行われる見通しです。
ECBは、欧州の景況感が好調なうちに 現在の金融緩和を終了させ、正常に戻したいようですが、イタリア情勢などの影響もあり決して好景気とは言えない状態です。
景気悪化の兆し
米国が、EUから輸入する鉄鋼とアルミニウムに関税を掛けました。それに対抗してEUは米国製品に対する関税を発動。
貿易摩擦は世界的な貿易戦争に向けてエスカレートしています。
今年に入り、IFO景況感指数が下落。
欧州の中心であるドイツの株式相場(DAX)は冴えません。欧米間の貿易摩擦のみならず、米中の貿易摩擦などによる中国経済の減速は、対中輸出の依存度が 高い 欧州景気の下押し要因になるためです。
IFO景況感指数とは、ドイツ連邦共和国のIfo経済研究所が発表する ドイツの景況感についての調査結果のこと
新興国市場
相場は下降トレンドか
米国と中国を中心とする貿易摩擦を始め、懸念材料が目立つ状況が続いています。
ブラジル、 インド、ロシアのPMI景況感指数もやや下落の兆しを見せており、市場の行先は不安です。
中国
-国内景気に減速の兆候-
米国と中国間で、互いの国からの輸入品に関税を掛け合う貿易戦争が勃発。両国の対立姿勢は鮮明です。
6月30日に発表された6月製造業購買担当者景気指数(PMI)は 51.5と、市場予想 (51.6)を下回る結果に。米国との貿易摩擦が中国経済の減速に繋がるかもしれない結果になりました。
また 急速な景気悪化を避けるため、中国当局は既に金融緩和を実施。
その結果、6月は人民元は対米ドルで3.2%の元安となりました。
通貨安は本来、輸出産業にプラスとなりますが、中国の株式相場は大きく下落するという結果に。
これは、中国の景気そのものが減速しているという兆候とも考えられ、市場の不安を煽っています。
景気への懸念から、中国から投資マネーの流出が進んでいます。2015年8月には "元安" 、"外貨準備急減"、"株価急落"の3つが揃う、チャイナショックが発生しました。
今回は2015年のケースにまで至っていませんが、警戒が必要だと言われています。
インド
米国の継続的な利上げを背景に、ドル高・インドルピー安が進んでいます。
インドルピーの対ドルレートは、2018年初からの半間で6.7%下落。
為替安定のために、インドの準備銀行は4年5ヶ月ぶりに 0.25%の政策金利の引き上げを決めましたが、利上げによる景気への影響は注視する必要があります。金利上昇に経済がついてこれるかが気になるところ。
ブラジル
2018年の実質成長率予測は、2018年4月末時点で前年比+2.75%、5月末で+2.3%、6 月末で1.55%と低下を続けています。
2019年の見通しも引き下げられており、景況感は悪化しています。特に好材料が見つからないとなると資金流入は期待できず、ダラダラとしばらく下降トレンドが続きそうです。
ロシア
6月28日、29日に開催されたEU首脳会議では、ウクライナの和平実現に向けた進展がないことから、 ロシア対する経済制裁を6ヶ月延長することが決定しました。
また、ロシア国内で増税計画が発表されており、 景気減速要因に。サッカーロシアW杯が景気に与える恩恵はどこまで影響するでしょうか。
しばらくは楽観視できない相場が続きそうです。
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