相場考察
今月の相場考察
日本市場
景気拡大は一休みか
輸出や生産の回復が一服といった感じでしょうか。
設備投資や個人消費も伸びが鈍化してきており、日本経済の回復は一服感が感じられます。
特に個人消費に関してはまだまだデフレマインドから脱却できていないのでは?というのが個人的な感想です。
安売りが安売りを呼び、定価で商品を購入するということに抵抗を感じるようになってしまったのではないでしょうか。
アメリカに左右される日本
米国が主張する保護貿易の発言に左右されてしまい、5月下旬にTOPIXは8営業日連続安を記録したのは記憶に新しいところです。
実はこれ、アベノミクスが始まって以来初めてのこと。
トランプ大統領が唱える輸入自動車関税の引き上げが実現してしまうと、日本の主要産業である自動車メーカーにとって、非常にネガティブな材料となります。
トヨタ自動車の世界販売台数は北米が約3割を占めており、輸出分を含めれば営業利益の実質4 割程度を稼いでいます。
日産自動車やホンダも営業利益の4~5割を北米で稼いでいるので、国内自動車大手にはかなりの痛手となるのではと言われています。
ですが 個人的な見解として、日本の自動車メーカーは米国における新車販売台数の半数近くを現地生産しているため、仮に日本車に対して関税を掛けられたとしても製造コストに関しては、深刻な打撃とまではならない可能性が高いと思います。
それでも今回の関税自体は、自動車メーカーにとってネガティブな材料であることに変わりないですが。
6月8日未明に行われた日米首脳会談でも、トランプ大統領より対日貿易赤字の削減の必要性が伝えられた模様。
日本の実体経済への影響が懸念されるため、引き続き米国の動向には要注意です。
米国市場
米国経済は良好...だがしかし
先日の雇用統計の発表から 市場の景気は良く、雇用者の伸びは力強いという判断となりました。
しかし、市場にとっての懸念材料はあります。
それは、貿易の停滞は成長の逆風となると考えられるからです。
米国が保護主義を主張し始めてから、世界の貿易数量は急減しています。貿易の停滞が世界景気の減速を招くきっかけとなる可能性は十分にあるため、何か一つでも悪材料が報道されれば市場は敏感に反応してしまいます。
6月2日に閉幕したG7 財務相・中央銀行総裁会議では、欧州、カナダ、日本が、あからさまな関税政策をはじめとする米国の保護主義姿勢を批判しましたが、米国の姿勢を変えるには至っていない模様。
トランプ強すぎ。
金利は再び上昇か
6月12~13日に開催される次回のFOMCで、利上げが実施されるという従来の見方に変更はありません。政策金利の上昇に合わせ、長期金利も上昇基調にあります。
ちなみに過去の利上げ局面で、無傷で終わったこ とはありません。
2007年サブプライムショック、2001年ITバブル崩壊、1998年ロシア危機、1994年メキシコ危 機、1987年ブラックマンデーなど、過去の利上げ局面でほぼ必ず大きな調整が発生してます。
今回の利上げ局面では要注意です。
個人的な意見としては、ここが少し買い場になるのではないかと睨んでいます。
実際買えるかわかりませんが←
米国中小型株に妙味か
米国の住宅価格は金融危機前の高値水準を既に超えており、バブルとも言える状況になりつつあります。というかバブルでは。
大型株式も既に高値圏にあり、また関税導入などを背景とした仕入価格の上昇に対する懸念がある銘柄は避けられている状況。
逆に、今後成長が期待できる中小型株式への投資意欲が高まっており、今後さらに資金流入が起きる可能性があります。
特に小型株の爆上げに期待してます。
欧州市場
景気は悪くないはないけれど
景気は堅調です。
景気拡大は2013年4~6期以降、20四半期連続となりました。
ですが、2018年1~3月期の実質GDP成長率は前期比+0.4%、前期比年率+1.6%と減速しています。
2016年4~6月期以来の低成長となりました。ドイツやフランスで成長率が鈍化していることが要因となっています。
イタリア新政府 2つの政策
今年 3月に実施された総選挙を経て、ポピュリズム政党と極右政党という2つの政党が連立政権を樹立することが決定し、政治面および財政面で不安を見せています。
この政権は、ベーシックインカムの導入、減税、労働者の権利の保護拡大など、かなりバブリーな公約を掲げています。
ただし、これを実現するには政府支出のかなり大幅な増加が必要になってきます。
イタリアと言えば債務大国。
債務は世界で3番目に大きく、2兆3,000億ユーロにも上ります。
また 金融危機後、財政不安を拡大させないように、赤字の対GDP比率について イタリアはEUと合意をしていました。
公的債務の削減プログラムを実施し、財政緊縮を進めていたのです。
ようするに 政府の支出を大幅に増やすと、EUと合意した赤字上限も守れないのです。
事実、EUはイタリアの財政に懸念を表明しています。
欧州委員会のドムブロフスキス副委員長は 「イタリア新政権は財政規律を守り、公的債務の削減を進める必要がある」 との考えを示しています。
EUからすれば、ギリシャの二の舞は何としても避けたいところ。
この一連の騒動を受け、イタリア株式およびイタリア国債は大きく売られ、長期金利は急上昇しました。
ですが、欧州株式市場全体としては、ギリシャショック時や2018年初に起きた米国株式急落時と比べると落ち着いていて、大きな調整ということには至っていません。
新興国市場
米国の保護主義に警戒せよ
新興国の中では、米国など他国のイベントに左右されにくい成長国と、他国のイベントに左右され、 資金流出が起きる国々に分かれていく可能性が高いです。これは貿易摩擦による影響をモロに食らうか食らわないかで経済的影響に雲泥の差が生まれるからです。
貿易摩擦が深刻化する可能性は高まっており、既に世界貿易が足元で減速しているのは事実。
新興国経済への逆風が吹き荒れることは免れません。
ブラジル
ブラジルが冴えません。さっぱりです。
米国からは 「ブラジルからの鉄鋼・アルミ輸入量を制限するか 関税を高める」 と迫られており、交渉の行方は依然として不透明なまま。
鉄鋼・アルミはブラジルの重要な産業であり、貿易に影響があれば経済への打撃ははかりしれません。
先日、燃料価格の値上げに抗議するトラック運転手の大規模なストライキが発生しましたが、これが他業種に波及し、混乱が拡大しています。
政府はストライキ収束のために、補助金を支給し燃料価格の上昇をサポー トしようとしており、財政赤字を一段と拡大させる要因を抱え込むことになりました。
ロシア
欧米による経済制裁、原油価格の大幅下落、ルーブル安、インフレ高騰、ロシア中銀の大幅利上げ と踏んだり蹴ったりのロシア。
直近では、原油価格が上昇していること、経済制裁が解かれる可能性が出てきたことが救いか。
依然として経済は弱気です。
割安感が続くので、私は実体経済と指数の相関性がいまだに把握できていません。
インド
経済成長は加速しています。
2018年1~3月期の実質成長率は前年比+7.7%となり、前期の+7.0%から成長。
これは2016年4~6月期(+8.1%)以来の高さになります。貿易摩擦の影響は少ないと見られているため、強気相場は続きそうです。
中国
経済は安定的に成長していますが、これまで経済成長を支えていたインフラ投資は大きく鈍化しました。
これは 足元の景気が緩やかに減速していることを示唆しているのではないでしょうか。
5月17日~18日に実施された米中の閣僚協議では、中国が米国からのモノとサービスの輸入を増加させることなどで合意。
米中の貿易戦争がひとまず沈静化に向かうかと思われたましたが、5月29日 トランプ政権は中国による知的財産権侵害の制裁として、中国からの輸入品500億ドル分に追加関税をかけると表明。
貿易戦争は長期化・複雑化していく可能性が高いです。
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イタリア国債10年 分析 - gbtpgr10 - Bloomberg Markets