【ボーイング(BA)が買収交渉】小型機取得に向けエンブラエルと提携か
アメリカの航空機大手ボーイング(BA)は、ブラジルの航空機メーカーエンブラエルの買収に向けて交渉しています。
リージョナルジェット市場での強化図るため、欧州の大手航空機メーカーエアバスに対抗する事が狙いのようです。
航空機産業の基礎知識
そもそも、何故ボーイングはエアバスに対抗する必要があるのでしょうか。
それは、ボーイングとエアバスが世界の民間機製造メーカーの2大巨頭であり、大型機・中型機のシェアをほぼ独占しているからです。
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上の表を見ていただくとわかるように、ボーイングとエアバスグループが独走しています。
Lockheed Martin、United Technologies、GE、Northrop Grumann、Raytheonに至っては、民間機の部品製造しかしていないため、大型・中型旅客機のシェアは2社でほぼ市場を占めているということになります。
リージョナルジェットとは
そもそも、普段生活していてあまり聞き慣れない言葉
リージョナルジェット
これは、一般的に旅客数が50〜100名程度で、必要な滑走路も短い低騒音な小型機のことを呼びます。
移動距離が短いフライトや、地方都市の空港で離発着する姿がよく見られると思います。
ちなみにリージョナルジェット市場も、現状2社が凌ぎを削っています。
カナダのボンバルディア(Bombardier)とブラジルのエンブラエル(EMBRAER)は、リージョナル市場において最もメジャーなメーカーなのです。
ちなみに、日本も三菱重工がMRJというリージョナルジェットを製造していますが、未だに完成機として成熟しておらず納期は遅れ続けています。
エアバス優位な現状
エアバスは、カナダのボンバルディアとの合弁事業の過半数株式を取得する計画を発表しています。
この合弁会社が手掛けるジェット機Cシリーズは、現在苦戦を強いられているものの、エアバスは大きな可能性を見込んでおり、リージョナルジェット市場において事実上 先手を取ったことになります。
後追いの立場にあるボーイングに、追い風はまだ吹きそうにありません。
現在、ブラジル政府の判断待ちで交渉は保留状態にあります。成立には買収の拒否権があるゴールデンシェアを保有するブラジル政府の承認が必要なのですが、政府がエンブラエルの売却を承認する保証はなく、交渉は成立しない可能性があるのです。
関係者の一部では、交渉再開の可能性は低いと指摘している人も、、、。
ボーイングのリージョナル取得は難航か
関係者によると、ボーイングはブラジル政府を引き入れるためにエンブラエルのブランド、経営陣、雇用を守る意向を示しています。
さらに、エンブラエルの防衛事業への政府の権益を保護するような仕組みを設ける用意もする動きも。
エンブラエルは、サンパウロを本拠とする世界3位の民間機メーカー。
従業員数は約1万8000人で、リージョナルジェットの製造で世界で最も知られています。
さらに、エンブラエルの防衛関連製品には軽攻撃機や、多用途軍用機などもあります。
なんと、エンブラエルは国境警備用システムも手掛けているのです。
この企業の技術をボーイングは、とても欲しがっており、リージョナルジェット分野の強化に非常に意欲的なのです。
リージョナル取得戦略はどうなるのか
ボーイングは、昨年のアメリカ税制改革で大きな恩恵を受ける見通しです。
実効税率は10%台後半になる見込みなので、税制改革に追い風を受ける企業がM&Aに動きやすくなるとの見方が出ています。
これをチャンスと見たボーイングは、エンブラエルとの提携に向け全力です。
エアバスとボーイングの争いは、まだまだ終わる様子はなく、空の覇権争いはこれからも続く事になりそうです。