【新興国投資戦略】人口ボーナスを考える-後編-
人口ボーナスは、その国が大きく経済成長する為に無くてはならないものです。
ですが、経済が爆発的に成長するためには、単に人口ボーナスがあれば良いという訳ではありません。
私の個人的な考え方ですが、爆発的な発展を遂げるにはある方程式が必要だと思います。
それは
爆発的経済成長=(人口増加+需要拡大)×供給対応能力
だと思います。
人口増加=経済成長は成立しない
その国の経済が、成長するかどうかを見極める時の重要な指標。
それが人口ボーナスの有無であるかという話は前回しました。
確かに人口が増えるという事で、あらゆる需要が増えるということは想像出来ます。
しかし、人口が増えれば、経済が成長するということは一概には言えません。
これは日本経済のイメージが私たちに焼き付いているため、経済成長と人口を密接に考え過ぎてしまっているからだと思います。
日本が生み出した固定概念
人口ボーナスの話をすると【人口が増えれば、経済が成長する】【人口が減れば、経済は停滞する】と思っている人が多くいます。
この根拠は実は、総需要の拡大という推測から来ています。
多くの人は、人口が増えれば需要が増えて、その結果経済は成長を遂げると考えがちです。
ですが、これは根拠無き推測の可能性があります。
日本の高度経済成長期
日本の高度成長期を正確に見ると、1954年から1973年までの二十年間です。
高度成長期の間に観測された総人口の平均増加率は、わずか1.12%に過ぎません。
日本の高度成長期の総人口は、わずか1.12%ずつしか増えなかったわけです。
それにも関わらず、高度成長期の実質GDPの成長率は10%近かった。
この事実を見ると、総人口増加による総需要増加は、経済成長にほとんど影響していないわけです。
日本を切り取って見ると、人口ボーナスの恩恵はそこまで大きく影響していない可能性もあり、一概に全てに当てはまるとは言えないのかもしれません。
人口ボーナスを紐解く
人口ボーナスは、総人口の増加が経済成長に貢献することに直結しません。
総人口ではなく生産年齢人口の増加が、実質GDPを拡大するという仮説があるだけなのです。
生産年齢人口の増加とは供給能力の拡大です。
要するに、人口ボーナスとは【供給能力が拡大すれば、経済が成長する】という理論からきているのです。
人口ボーナス論の問題点
この説には二つの問題点があります。
- 需要が供給を超える状況であるとは限らないということ。(インフレギャップ)
- そもそも経済成長は生産年齢人口の増加によって達成されるわけではないということ。
先程にも述べていますが、実際に高度経済成長を果たした時期の日本は、経済成長率が平均で10%近くありました。
高度成長期の生産年齢人口の増加率は平均で1.71%です。
高度成長期の日本の経済成長率を生産年齢人口の増加のみで説明するのは、無理があり過ぎるわけですね。
日本の高度成長に最も貢献した要因は、総人口の増加でも、生産年齢人口の増加でもなく、生産性の向上です。
すなわち、生産年齢人口一人当たりの生産の拡大こそが、日本に経済成長をもたらしたという紛れも無い事実です。
第2の日本はどこなのか
パズルのピースがタイミング良く揃い、高度経済成長を遂げた日本。
この成長が無ければ今の日本は存在しません。
さて、次に超高度経済成長を遂げるのは何処なのでしょうか。
私、個人の見解としてはやはりインドです。
爆発的経済成長=(人口増加+需要拡大)×供給対応能力
この方程式に当てはまるのは、インドではないでしょうか。
人口ボーナス期を迎えるお陰で、人口増加は必然です。
その事により、需要は確実に増加します。
これに応える潜在能力がインドにはあります。
ハイテク技術の進歩、外交の政策、そしてモディ政権による政治手腕。
時間は掛かると思いますが、確実に国力を上げてきています。
人口ボーナス期は他国にも来ます。
ですが、そのチャンスを生かし切らなければその国の発展はありません。
それをモディ首相は理解しています。
嫌でも推し進めなければならない事をわかっているからこそ、半ば強行的に政策を進めています。
さて、これらの事により現在インドは外国からの大きな期待を寄せています。
この期待に応える事が出来るかどうかで、今後を大きく左右するのは間違い無いと思われます。
まだまだインドには魅力があります。
我々はそれを、見届けなければならないと思いませんか。
私の新興国投資戦略は続きます。
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