【S&P500に新セクター誕生】コミュニケーションサービスセクター
来年、S&P500種指数のセクター分類が見直されます。新たなセクター誕生に、新セクターETFも新しく作られるみたいです。
新セクター誕生
S&PとMSCIは【コミュニケーションサービス】という新たなセクターを作ることを発表しました。
アルファベット、フェイスブック、ネットフリックスなどがこのセクターに入る可能性が高いと見られています。
ゴールドマンサックスによると、このセクターの時価総額はS&P500種指数全体の約10%を占めるそうです。
そもそも米国市場の上位銘柄が組み込まれる事になるので、10%に収まりきらない可能性もあるという意見も出ています。
米国市場上位10銘柄
S&P500を構成している上位銘柄は世界時価総額のトップに君臨している銘柄です。
さらに上位4銘柄は全てIT企業なので、現在のIT企業がとても好調な事がわかります。
そして、アルファベットとフェイスブックが新しく作られるセクターに組み込まれるわけですから、セクター構成のパワーバランスが一気に変わります。
後に記述しますが【IT】という現在の強セクターをバラす事になるわけです。
電気通信サービスセクター廃止
今回の見直しで【電気通信サービス】は廃止され、このセクターの企業は【コミュニケーションサービス】に分類されます。
【電気通信サービス】には現在、AT&T、ベライゾン・コミュケーションズ、センチュリーリンクの3社しか入っていません。
ちなみにLevel3はセンチュリーリンクが買収しています。
バンガードの電気通信サービスセクターETFを見ても、かなり偏った比率になっている事がわかります。
この3社を合わせた時価総額はS&P500種指数全体の2%弱に過ぎないとのこと。
セクター移籍銘柄
【一般消費財】セクターに分類されているメディア・娯楽銘柄13社が【コミュニケーションサービス】に移る可能性が高いと見られています。
ゴールドマンによると、米国の広告大手オムニコム・グループ、メディア大手CBS、CATV、チャーター・コミュニケーションズなどが対象になりそうと予測されています。
新セクターは今後最強に成り得る?
新しく設けられるセクターは構成銘柄的に、とても素晴らしい企業で構成される可能性が高いです。
予定と予想段階なので、必ずそうなるとは限りません。
ですが、実際にアルファベット、フェイスブック、AT&T、ベライゾン、オムニコム、CATVなどでセクター構成されるとなると、情報化社会の中でかなり強い企業集団になると私は思います。
導入予定は来年9月
S&PとMSCIは2018年1月、セクターが変わる大型株のリストを発表し、8月には分類を見直す全銘柄を公表する予定です。
【コミュニケーションサービス】セクターは来年9月末に導入されます。
セクター変更は時代を反映している
世界産業分類基準(GICS)のセクター変更はめったにありません。
GICSとは、1999年にS&PとMSCIが共同開発した産業分類です。
昨年、導入以来で初めて大幅な変更が加えられ【金融】の一部だった【不動産】が切り離されて独立したセクターとなりました。
今回で二度目になりますが、今回の場合は企業が持つ事業内容が以前にもまして複雑になってきている事の象徴だと言えます。
シンプルでわかりやすい事業を行なっている企業は、現代社会で生まれにくくなっているからです。
セクター変更実施後の展望
来年、変更が実施された後はどうなるのでしょうか。
S&P500種指数に連動するミューチュアルファンドや、ETFは変更に合わせて資産配分の再調整を行うとの見込みです。
S&P500やMSCIのITセクターに連動するITファンドは、フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグルのいわゆるFANG株を保有しなくなる可能性があるとのこと。
ちなみにアマゾンはITではなく【一般消費財】に分類されています。
各ファンドが最終的にどのように新たな資産配分へ移行するか次第ですが、ITセクターや一般消費財セクターに連動したファンドを保有している投資家さんは、この事による影響を受けて評価額を大きく下げてしまうかもしれません。
ですが、米国市場の成長は過去から見ても折り紙付き。
偏ったセクターに投資しているのであれば、ポートフォリオの見直しを。
S&P500指数に連動している商品に投資しているのであれば、今回のセクター新設に至っては何の懸念もないはずです。
データ引用
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 -ニュース-ビジネス-海外-経済-金融 - WSJ日本版-jp.wsj.com - Wsj.com
バンガード・インベストメンツ・ジャパン - 個人投資家向けトップ