新興国投資戦略 〜BRICs〜ブラジル
新興国に投資するにあたり、トレンドが存在します。期待され、もてはやされ、資金が過剰に流れ込んでくる様はまさにバブル。
過去 2003年に、ゴールドマンサックスが発表したレポートによると、2050年にはGDPの順位は 中国、アメリカ、インド、日本、ブラジル、ロシアの順番となっているだろう予測されていました。このうち4ヶ国がBRICsです。
BRICs Brazil
BRICsは経済発展が著しい代表的な4ヶ国を表します。新興国と呼ばれる国々の総称として最もメジャーな名称です。
ブラジル、ロシア、インド 、中国の頭文字を取って複数形を表すsをつけたものです。
その後、南アフリカを入れてBRICSにしたり、インドネシアを加えてBRIICSという呼び方をしたりと都合の良い扱いを受けているカテゴリー群です。
今回はブラジルをピックアップ。
ブラジル株価指数
ボベスパ指数
日本との人口構成比
日本
年少人口(0~14歳) 13.2%
生産年齢人口(15~24歳) 9.7%
生産年齢人口(25~64歳) 51.3%
高齢者人口(65歳以上) 25.8%
ブラジル
年少人口(0~14歳) 23.8%
生産年齢人口(15~24歳) 16.5%
生産年齢人口(25~64歳) 52.1%
高齢者人口(65歳以上) 7.6%
ブラジル人口は毎年約1%程度増加している状況です。生産年齢人口は2009年に減少に転じたことがありましたが、高齢化率は8%未満で推移しており、日本の約26%と比較すると大きな社会問題が発生する水準ではありません。GDPは拡大傾向にあります。
経済成長率
ブラジル経済は過去40年間の経済成長率の推移から、1980 年代以降低成長化・不安定化してきたというトレンドになっています。上のグラフにあるように1980年までは高度成長を続けてきたのですが、それ以降の経済成長率は大幅に低下し、さらに不安定な動きになっています。
ブラジル経済が高度成長を遂げた 1960~70年代は、工業化やインフラ投資拡大などに支えられ てブラジルの奇跡と賞賛されるほど目覚しい経済成長を遂げました。
経済成長率は、一時14%という驚異的な伸びを記録したというデータがあります。
ですが、その後1980年代以降は不安定化し、10 年ごとに経済危機に見舞われ景気が大きく失速するパターンが繰り返されています。
ブラジルは、高度経済成長期に、成長マネーの調達源を対外借入れに依存していたため1979年の第2次石油ショック後の世界的な金利上昇による影響を受けて対外債務返済不能に陥り、 大幅な景気後退に直面しました。
政策による財政規律を喪失してハイパーインフレーションに見舞われます。経済が機能不全に陥った、そのハイパーインフレーションをようやく克服し財政金融が安定したのも束の間
1990年代後半には通貨危機に見舞われ、為替相場が短期間で急激に下落、ブラジル経済はまたもや失速を余儀なくされました。
2003年のルーラ政権発足後には、財政規律重視の経済運営で、ブラジル経済が安定・成長軌道に乗るとの期待が高まったのですが、2008年のリーマンショック発生により、持続的高成長への道がまたしても閉ざされてしまいました。
ブラジル経済はリーマンショック後の2010年には急回復しましたが、その後は鈍化。下り調子を続けたのち、2015 年にはまたしてもマイナス成長に転落してしまいました。
長い説明になってしまいましたが、それだけ不安定ということです。ご了承ください。
インフレ率
ブラジルのインフレ率は低下傾向が続いています。ですが、ブラジル中央銀行は16年10月以降利下げを続けています。
今月9月の金融政策委員会では政策金利8.25%に引き下げました。利下げ幅は去年以降 累計で6%となっていて、特に好材料の無いブラジル経済の回復を支えてる要因です。利下げはもうしばらく継続されるようです。
今後の見通し
銀行の追加利下げを受けて、ブラジル株式市場が上昇しています。通貨レアルは今月ドルで約4カ月ぶりの高値水準をつけました。
今年5月、テメル大統領の汚職隠ぺい疑惑が浮上し、政治の混乱や財政改革の遅れを嫌気して調整されましたが
その後、テメル大統領の辞任・弾劾の可能性が後退し、レアルは買い戻されています。
銀行の利下げや構造改革期待からブラジル株式市場が堅調なことと、アメリカの利上げ観測が落ち着いた展望になったことなどから、現状を底堅く推移していくと見られています。
データ引用 世界経済のネタ帳、SBI証券|株・FX・投資信託・確定拠出年金・NISA