新興国投資戦略①
資産を大きくしていくにはどういった戦略を立てて投資していくか。アセットアロケーションが大事だ。米国投資が一つの解だ。投資信託で積立投資をしなさい。など書店やブログには、たくさんの手法、戦略が推奨されています。
私はその中の一つ、新興国投資に魅力を感じているわけです。
新興国投資の基本概要
新興国投資の魅力はいたってシンプルです。高いリターンと分散効果の2点に集約できます。一般に企業の株価がその企業の収益率に比例するのと同様、ある国への投資収益率はその国の成長率と高い相関があることが知られています。
成長率は人口と生産性の伸びが決め手となりますが、新興国の人口の伸びが先進国より高いことは明らかです。さらに、農業から製造業へと産業の構造転換が進むことで高い生産性の伸びも期待できるわけです。
過去のデータをみても、新興国の成長率は先進国をほぼ一貫して上回っており、将来的にこの構図が逆転するとは考えづらいと考えられます。したがって、新興国への投資は高成長に裏打ちされたハイリターンが期待できるかもしれません。
エマージングリスク
新興国への投資は良いことばかりではなく、デメリットが目立ちます。先進国にはないさまざまなリスクやデメリットを抱えることになるわけです。
主なリスクとしては、政治的リスク・流動性リスク・為替リスクなどです。また債券へ投資する場合にはデフォルトリスク(債務不履行)も考慮する必要があります。
政治的リスク
政治的リスクはかなり幅広い概念で、カントリーリスクとも呼ばれます。
極端な例としては戦争や内戦、政権の崩壊などです。また、汚職や収賄、税制や会計基準の突然の変更、資本規制なども政治的リスクに含まれ、発生した場合には最もダメージの大きいリスクといえます。
新興国の歴史は実際 債務不履行の繰り返しです。1994年のメキシコ通貨危機、97年のアジア通貨危機、98年のロシアのデフォルト。アルゼンチンに至っては2001年以降、デフォルトを複数回引き起こしました。もはや日常だと捉えています。
流動性リスク
新興国は先進国に比べて市場規模が小さいことから価格変動が大きくなりがちです。売りたい値段、買いたい値段で取引が成立せず、思わぬ損失を被ることもあります。
また、特に相場が大きく下げ、売りが殺到した場合に取引が成立しないこともあるかも知れないのです。このように希望する価格で取引ができなかったりするリスクを常に伴います。
為替リスク
為替リスクは新興国のみならず、海外投資には必ずついて回るリスクです。
しかし新興国の場合、投資した国の株価が上昇しても、その国の通貨が下落した場合には損失を出す可能性があるわけです。
ブームとしての新興国
新興国においては、投資ブームが繰り返されるのも特徴です。
BRICs、VISTA、NEXT11、MENA
ここ十数年で、期待高まる国、地域を示すフレーズが次々と生まれています。その都度、新興国を対象とする投信が相次ぎ発売されてきました。
このブームに乗って大量の資金が流入した場合などは本来もっている価値以上に値上がりします、逆に不安材料が顕在化すると、急速に環境が悪化して価値以上に下落してしまいます。
所感
ここまでの説明でいったいどこに、新興国へ投資する魅力があるというのでしょうか。
デメリットが多く、非常にリスクが高いと思います。
ですがそれこそが新興国が光り輝く魅力だと私は考えているのです。
新興国投資戦略②へつづきます。