【投資初心者への基礎知識】お金のお話③〜金利〜
【投資初心者への基礎知識】
金利とはなんですか?
世の中の景気が良い悪いと言われている時に、簡単な指標として金利を見ます。
金利には経済の複雑な部分がすべて含まれていると言ってもいいぐらい重要な仕組みです。経済が何のことだかわからないなら金利を確認してみましょう。
金利とは
現在は低金利と言われている時代です。
なぜ低いかというと、経済の影響が大きく関わってきます。
デフレーション、略してデフレ。デフレというのは景気が悪く、買いたい物があるけどお金を使うのを控えたり、給料が減ったり、とりあえず今はお金を使わず我慢しておこうという状態を言います。
こうなるとみんなが銀行にお金を預けっぱなしにするので、銀行にはお金が山ほどある状態になるわけです。少しでもお金を借りて欲しい訳ですから金利を下げる訳です。
逆に世の中の景気が良く、新しい物が世の中にあふれ出す時は多くの人がお金を使いますし、給料が上がると消費にお金を回せる分、銀行からお金がどんどん出て行きます。
借りる人もたくさんいる訳ですから、リスクは高くなっていくため、銀行は金利を引き上げます。
正確にはさらに複雑な要因が絡んできますし、一言では説明がつきません。
ですが、民間の銀行、個人消費といった観点から見るとここを抑えておけば基本は大丈夫なはずです。
金利の種類
金利には、短期間の貸し借りにつく短期金利と、長期間での貸し借りにつく長期金利があります。
短期金利
これは金融機関同士での貸し借りでつく金利のことを言います。そしてこの金利が世の中のありとあらゆる金利を決める際の基本になります。
住宅ローンや自動車ローンなどは、この短期金利にいくらか上乗せした金利がつきます。金融機関同士よりも、他の企業や一般の人に貸す方がリスクが高い訳ですから金利が高くなってしまうのは必然です。
日本銀行は金利を操る景気コントローラー?
そして日銀は、この短期金利をコントロールしています。市場に流通するお金の総量を増やしたり減らしたりしてバランスをとっているわけです。
日銀により金利が決定してしまうので政策金利と呼ばれることもあります。
日銀は市場のお金の量を調整しています。そうすることで金利と景気をコントロールしている訳です。
現在の日本銀行はマイナス金利政策が取られています。景気が悪いので市場にお金をたくさん送り込み、お金の量を増やしています。
金利はとてつもなく低い訳ですから、消費は上がり景気は少しずつ上向くだろうという予測の元実施されているわけですが、個人の実感としてはなかなか心理的に難しいものがありますね。
長期金利
短期があれば長期もあります。長期金利のつく一番メジャー商品といえば国債です。10年物国債など聞いたことはないでしょうか。
これは10年経つと元本が戻ってくる国債の種類です。
短期金利は金融機関同士の貸し借りで決める。では長期金利はいったい何で決めるのか。
長期金利は発行済みの国債の売買状況によって決まります。つまり市場が決めるわけです。
もう少しわかりやすく言うと
売買することにより、売り手と買い手の間で常に価格が動くので、発行済みの国債価格が上昇すると金利が下がる、発行済みの国債価格が下落すると金利は上がるというわけです。
ニュースを観ていて「債券価格が値下がりしたため金利が上昇」と耳にした時は、このことを思い出して下さい。
さて、この長期金利ですが常に相場に左右されてしまいます。
例えば、株価が上がれば株が儲かりそうだと言うことで、国債などが売られて株式に資金が流れ込みます。このことにより国債は価格が下がり長期金利は上昇傾向になります。株価が下がれば逆の事が起こり、国債価格が上がり金利は下がります。
よって、長期金利においては日銀はコントロール出来ず景気に影響を及ぼす事は出来ない訳です。相場における機関もしくは個人の資金の動きにより長期金利は決まる訳です。
暴落時における金利の動き
2008年9月、巨大投資銀行リーマンブラザーズが破綻しました。このことを皮切りに世界的金融危機に突入した事はまだ記憶に新しいです。
製造業、小売業など金融以外の業界ではライバル企業が潰れると顧客獲得率は上がる為、生き残った企業は売り上げが上昇することが多いです。
しかし金融業界は全く違います。一つでも銀行が破綻してしまうと一気に不況に突入します。なぜなのか。リーマンショック時を振り返って確認します。
リーマンショック時の金利動向
ひとまずリーマンショックの原因から
さて、話を戻します。なぜ金融業界で同業社が一社でも潰れてしまうと全体に影響が出るのか。
答えの一つとしては資金の流れが止まってしまう、または流れが悪くなる。ということです。
銀行が一社破綻すると他の銀行も危ういのではないかというリスク、不安が金融機関の間で広まります。
こうなってしまうと金融機関同士でのお金の貸し借りなどの動きが鈍くなります。ということは社会全体に資金が回らなくなり不況ということになります。
あまり知られていない事ですが、金融機関同士は常日頃から資金の貸し借りを行なっています。
なので、各銀行には手持ちの現金がそれほど多くありません。むしろ手持ちのお金を必要以上に多く持っている銀行は預金の効率的運用が出来ていないということなので、センスがありません。
以上の事を踏まえて金融機関が破綻したリーマンショック当時を再び確認します。
リーマンブラザーズ破綻
リーマンブラザーズが破綻した時に他の銀行はどういう行動を取ったのか。
常に行っていた銀行間の資金貸し借りが危険なリスク取引だという認識が生まれます。
もしお金を貸して返ってこなかったらどうしよう。銀行間は無担保での貸し借りだから、もし貸した先の銀行が倒産したら丸損ではないか。
多くの銀行でこういった考え方が出てくる訳です。
こうなると貸し借りの流れが止まる、もしくはそのリスクに見合うだけの高い金利を要求した貸付になります。こうなると必要なところに必要な資金が行き届かなくなります。
こうした連鎖的な事で、世界的な金融不況が始まっていくわけです。
金融対策
こうした不況に陥ると、当然各国は対策をたてます。
アメリカ中央銀行や日本銀行が、実際に行った金融対策は銀行間の市場にお金が有り余る状態を作るということです。
とにかく大量のお金をあり余らせてしまえば、ただただ捌ききれない資金を持っていても仕方ないからとりあえずどこかに貸そうかな。と銀行は考えるだろうと予測しました。
資金が流れやすくなるように、市場にたくさんのお金を流通させる。このことを
金融緩和といいます。
リーマンショックから日銀の大規模な金融緩和政策を取った一連の流れが少しでも理解できたでしょうか。こうして超低金利の時代が始まりました。
まとめ
結局のところ、複雑な仕組みを持つ金利というのは冒頭で言った事と矛盾してしまいますが、一言で説明できます。
金利というのは需要と供給のバランスで決定します。借りたい人が多く、貸したい人が少なければ金利は上がります。逆なら下がる。
シンプルに覚えておくと相場を見る時に一つのモノサシになるかもしれません。